シン・ぱいおつ日記

ぱいおつが始まります

二項係数 nCk が平方数となるような n と k

こんにちは. 

ぱいです. 

 

先日二項係数の計算をしていたら面白い問題を思いつきました: 

問題 n k を正整数とし,  k \neq 0, \ 1, \ n-1, \ n とする (※). 
このとき, 二項係数  {}_{n} \mathrm{C}_{k} が平方数となるような組  (n,k) は, 高々有限個しか存在しないか?それとも無限個存在するか?

(※)  k \neq 0, \ 1, \ n-1, \ n としている理由は, もし  k \neq 0, \ 1, \ n-1, \ n を許したら,  {}_{n} \mathrm{C}_{0} = 1^{2} {}_{n}\mathrm{C}_{1} = n から, 平方数となるような二項係数を簡単に無限個作れてしまって面白くないから.

 

解答例は, 「続きを読む」からどうぞ. 

 

(目次)

 

問題の解答例

二項係数  {}_{n} \mathrm{C}_{k} が平方数となるような組  (n,k) は無限個存在する. 

以下, そのことを証明する. 

 

下記の初期条件と漸化式を満たすような任意の数列  a_{n} を考える. 

  • 初期条件:  {}_{a_{1}} \mathrm{C}_{2} が平方数となる.   
  • 漸化式:  a_{n+1} = (2a_{n}-1)^{2}

すると, 次の等式が成り立つ. 

\begin{align} {}_{a_{n+1}} \mathrm{C}_{2} &= \dfrac{ \ a_{n+1} (a_{n+1}-1) \ }{2} \\ &= \dfrac{ \ (2a_{n}-1)^{2} \Big( (2a_{n}-1)^{2} - 1 \Big) \ }{2} \\ &= \Big( 2(2a_{n}-1) \Big)^{2} \cdot \dfrac{ \ a_{n} ( a_{n}-1 ) \ }{2} \\ &= \Big( 2(2a_{n}-1) \Big)^{2} \cdot {}_{a_{n}} \mathrm{C}_{2} .\end{align}

よって, 帰納的に, すべての  n \geq 1 に対して  {}_{a_{n}} \mathrm{C}_{2} は平方数となる. 

従って, 初期条件をみたすような  a_{1} の存在を示せば十分となる. 

 

初期条件をみたすような  a_{1} は, 例えば  a_{1} = 50 a_{1} = 1682 などがある. 

( {}_{50} \mathrm{C}_{2} = 35^{2},  {}_{1682} \mathrm{C}_{2} = 1189^{2}.)

 

以上から,  {}_{n} \mathrm{C}_{k} が平方数となるような組  (n,k) は無限個存在する. ■

 

研究課題?

今度は下記の問題を思いつきましたが, これはよく分かりませんでした. 

解けた方がいたら教えてくれると嬉しいです. 

 

研究課題

 {}_{n} \mathrm{C}_{2} が平方数となるような  n のうち,  n = (2m-1)^{2} の形で表せないようなものを 原始的数 と呼ぶことにする. 

(勝手につけた名前で, この記事の中でだけの呼び方です.) 

このとき, 原始的数は高々有限個しか存在しないか?それとも無限個存在するか?

 

ちなみに,  n \leq 10,000 までの原始的数をしらみ潰しに調べたところ, 上述の解答例の中で登場した  n = 50, \ 1682 だけでした. 

 

最後まで読んでいただき, ありがとうございました!