シン・ぱいおつ日記

ぱいおつが始まります

有限群は各元の位数や各部分群の位数で特徴づけられるか?っていう話

こんにちは. 

ぱいです. 

 

今日は, 群論について下記の問題を解説します. 

(2023/2/12 追記. 不備があったため, 条件 (4) の表現を差し替えました.)

問題 G を群として, 下記の条件 (1) ~ (4) を考えます. 

 (1)  G は有限群となる. 
 (2)  G のどんな真部分群も有限群となる. 
 (3)  G のどんな元の位数も有限となる. 
 (4)  G の生成元として, 位数が有限な元の組を取ることができる. 

このとき, 明らかに下記の (ア) ~ (ウ) が成り立ちます. 

 (ア) (1) ⇒ (2)
 (イ) (2) ⇒ (3)
 (ウ) (3) ⇒ (4)

では, (ア) ~ (ウ) の逆はそれぞれ成り立つでしょうか?

 

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線分と長方形はいかにして区別できるかっていう話

こんにちは. 

ぱいです. 

 

今朝, 線分と長方形の区別についてこんなツイートをしました. 

 

せっかくなので, 下記 3 点の枠組みで線分と長方形がどのように区別できるかをメモしておきます. 

(2023/2/9 追記. 考えてた演算が線形ではなかったので, 群論の枠組みで考えなおしました. ご指摘いただいた方にこの場でお礼申し上げます.)

前提知識は, 大学学部程度の数学です. 

 

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文章を隠したり表示させたりするボタン (テスト記事)

こんにちは. 

ぱいです. 

 

文章を隠したり表示させたりする技を習得しました. 

(2023/02/05 11:40 追記.

スマホ版だと上手く機能してくれなかったので, 全然習得できていませんでした!!!

この記事は, パソコンで読むことを想定しています.

スマホで読むと意味不明な記事になるのでご注意ください.)

 

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にゃー

 

用途としては, クイズの解答や定理の証明を隠してネタバレ防止をする場面を想定しています. 

例えば, ↓ のような感じ. 

 

問題 1 +2 + 3 + \cdots + 99 = ? 

下記のボタンを押すと答えが表示されます. 

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\begin{align}&1 + 2 + 3 + \cdots + 100 \\ &= (1+99) + (2+98) + (3+97) + \cdots + (49+51) + 50 \\ &= \underbrace{100 + 100 + 100 + \cdots + 100}_{49回 足す} + 50 \\ &= 4900 + 50 \\ &= 4950 \end{align}
 

 

今度から記事を書くとき (覚えてたら) このボタンを活用します. 

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

 

 

 

 

大学入試問題と群論入門 (京府医2001)

こんにちは. 

ぱいです. 

 

大学入試の季節ですね. 

今日は, 下記の入試問題を解説します. 

 

問題

 0 でない複素数からなる集合  G は次を満たしているとする。

\begin{align} G\, の任意の要素 \, z、w \, の積 \, zw \, は再び \, G \, の要素である\end{align}

 n を正の整数とする。

このとき、

(1) ちょうど  n 個の要素からなる  G の例をあげよ。

(2) ちょうど  n 個の複素数からなる  G は (1) の例以外にないことを示せ。

(出典: 京都府立医科大学 2001 年度入試問題) 

 

さっそく解答例の概略を述べます. 

 

<解答例の概略>

(1)  G = \{ e^{2 \pi i y / n} \ | \ y = 0, 1, \cdots, \ n-1 \}

(2)  z \in G を好きに取ると,  G は次のようにも表せる. 

\begin{align} G = \{ gz \ | \ g \in G \}. \end{align}

よって, 両辺の要素たちの積について, 下記の等式が成り立つ. 

\begin{align} (G \, のすべての要素の積) = (\{ gz \ | \ g \in G \} \, のすべての要素の積). \end{align}これを整理すると,  z^{n} = 1 が得られる. 

したがって,  G は必ず下記の式で表せることが分かる. 

\begin{align} G &= \{ z \ | \ z^{n} = 1 \} \\ &= \left\{ e^{2 \pi i y / n} \ \middle| \ y = 0, 1, \dots, n-1 \right\}. \end{align}

<解答例の概略おしまい>

 

こんなん知識ゲーやん!!!

思いつくか思いつかへんかだけで点差出てまうやんけ!!

悪問やないか!!!!!

 

と思ったそこのあなたに, 朗報です. 

 

この記事を読めば, (1) の集合の自然な求め方や (2) の証明の自然さが分かるようになります!

しかも!

その過程で群論に入門できて, 準同型定理や群の作用の基本が身に付きます!!

 

※この記事の内容は, 他の入試問題へあまり応用できないと思います. 

そのため, 受験生の方が読まれる場合には, ただの息抜き程度に軽い気持ちで楽しんでいただければ幸いです. 

 

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位数2023の群の分類

こんにちは. 

ぱいです. 

 

明けましておめでとうございます. 

今年も数学の記事を書いていきますので, よろしくお願いいたします. 

 

さて, 2023 年になったということで, 今年 1 発目の記事のテーマは「位数 2023 の群の分類」です!

つまり, 位数 2023 の群をすべて求めます!

 

なお, 途中で大阪大学の大学院入試の問題にも触れますので, 学部 4 年生の人たちは参考になるかもしれません. 

 

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ほとんど至る所で連続となるが, ある稠密集合上のどの点でも下半連続とならない, 病的な上半連続関数

こんにちは. 

ぱいです. 

 

下記 3 点の条件を同時にみたす病的な実関数  f : \mathbb{R} \to \mathbb{R} を思いついたので, 解説します. 

条件
  • すべての点  a \in \mathbb{R} \setminus \mathbb{Q} において,  f は連続となる. 
  • すべての点  a \in \mathbb{Q} において,  f は下半連続とならない. 
  • すべての点  a \in \mathbb{R} において,  f は上半連続となる. 

 

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東大入試 2022 数学第 2 問の数列について (第 2 弾)

こんにちは. 

ぱいです. 

 

さて, 前回の記事で, 下記問題 (東大の 2022 年度入試) に登場する数列  \{ a_{n} \} の一般項について解説しました. 

 

第 2 問

 

数列  \{ a_{n} \} を次のように定める。

 

\begin{align} a_{1} = 1, \quad a_{n+1} = a_{n}^{2} + 1 \quad ( n = 1, \ 2, \ 3, \ \cdots \cdots ) \end{align}

 

(1) 正の整数  n が 3 の倍数のとき,  a_{n} は 5 の倍数となることを示せ。

(2)  k,  n を正の整数とする。 a_{n} a_{k} の倍数となるための必要十分条件 k,  n を用いて表せ。

(3)  a_{2022} (a_{8091})^{2} の最大公約数を求めよ。

 

出典: 東京大学 2022 年度第 2 次学力試験 前期日程試験 数学 (理科)

 

【前回の記事】

end-of-paiotu.hatenablog.com

 

今日は, 前回の予告通り, この数列  \{ a_{n} \} が数学のどんな場面で登場するのかを紹介します!

 

  • 全二分木の定義
  • 全二分木と冒頭の数列の関係

 

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