こんにちは.
ぱいです.
前回の記事に引き続き, モジュラー群 の生成系に関する話を書きます.
↓ 前回の記事はこちら
の生成系を幾何的に求める話を書くと予告しましたが, 小ネタを思いついたのでちょっと予定を変更します.
最近, 連分数ゼミにも参加していて, 連分数と Euclid の互除法とモジュラー群 とが密接に関連しているという理論を勉強しました.
そこで勉強したことを活かして, 前回の記事で互除法を通して の生成系を求めた流れを, 連分数の観点でも考えてみました.
せっかくなので, その考えた内容を (大した内容ではないですが,) このブログにメモしておきます.
前回に引き続き, 行列 , をそれぞれ
\begin{align} S^{\pm} = \pm S = \begin{pmatrix} 0 & \mp 1 \\ \pm 1 & 0 \end{pmatrix}, \quad T = \begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 0 & 1 \end{pmatrix} \end{align}とします.
は自然な左作用 を持ちます.
つまり, 任意の , に対して, を通常の行列の積 で定めることで作用になります.
(, ) を任意に取ります.
前回見た通り, に や を作用させると, 以下のとおりになります.
\begin{align} T^{n} \cdot X &= \begin{pmatrix} x+nz & y+nw \\ z & w \end{pmatrix}, \\ S^{\pm} \cdot X &= \begin{pmatrix} \pm z & \pm w \\ \mp x & \mp y \end{pmatrix} \end{align}
さて, 分数 を考えましょう.
これは有理数なので, 以下のように有限の長さの連分数展開を持ちます.
\begin{align} \dfrac{x}{z} = a_{0} + \dfrac{1} { a_{1} + \dfrac{1} { a_{2} + \dfrac{1} { \ddots + \dfrac{1}{a_{n} } } } } \end{align}
この連分数展開を群作用 で追うと, の肩に連分数の各項 たちが現れて, 以下のようになります.
\begin{align} \begin{pmatrix} x & y \\ z & w \end{pmatrix} \stackrel{ S^{-}T^{-a_{0}} }{\longrightarrow} \begin{pmatrix} z & * \\ -x+za_{0} & * \end{pmatrix} \stackrel{ S^{+}T^{a_{1}} }{\longrightarrow} \cdots \stackrel{ S^{\pm}T^{\pm a_{n}} }{\longrightarrow} \begin{pmatrix} \pm 1 & 0 \\ 0 & \pm 1 \end{pmatrix} \end{align}
証明は, 互除法のときと全く同じなので省略します.
大した内容じゃないですが, 今日はこの辺で.
最後まで読んでいただきありがとうございました!